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雨のち晴れ
国連会議10日目(3月12日)
やっと、最終日。この一言に尽きます。今日は本会議で、政府間で交渉されていた決議案が採択される日。どうなるかは今日、加盟国の同意が得られるかどうかで決まります。

会議場には、国会のように、賛成・反対・中立を示すボードが!かっこいい・・・。

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会議自体は全然時間通りに始まらず、1時間遅れで開始。交渉がまだ続いている模様です。
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今回は加盟国全体でまとめている決議案はない、という会議の形式をとり、その代わりにPolitical Declarationが会議2日目にして早くも採択されました。非常に簡単にまとめてある2ページ(内容はほぼ1ページ)のもの。そこで、各国が主導で色んなイシューに関する決議案をまとめ始め、現在7つの決議案が出されています。アメリカが主導でまとめているのが、妊産婦死亡に関する決議案。co-sponsorを募り、この決議案に賛成する国が、国名を連ねていきます。決議にどんな内容を載せるのかもこの賛同した国が積極的に関与していくようです。

なんか国連の仕組みって複雑・・・。この決議案は最終的に本会議で加盟国全体の合意を得るかどうかで採択されるかどうかが決まります。

本会議ではこの決議を主導でまとめていたアメリカが、ドラフトと提出した決議ではどこが変わっているのかを全部説明。この決議はセクシュアル・ライツをいれるかどうか、性教育をいれるかどうかでもめたので、表現が変わっている箇所が沢山ありました。説明にもざっと30分はかかったかと。(アメリカ政府のプレスリリース

この説明のあと、各国が意思表示。この決議ではリプロダクティブ・ライツが書かれているが、国として保留の立場を表明したい、とかリプロダクティブ・ヘルスには中絶は含まれると認識していない、とか、プロライフ派の国々が主張。それに対してニュージーランドやノルウェーなどが、セクシュアル・ライツが入っていることを評価すると発言。それぞれNGOから拍手が。(特にプロライフ派の人数がすごかった・・・!拍手が大きくて勢いに圧倒される!)

結局、この決議に賛同を示したのは、(早くで全部メモできなかったが)アルメニア、カメルーン、カナダ、ガボン、インド、グアテマラ、モンゴル、ニュージーランド、ナミビア、ノルウェー、ザンビア、南アフリカ、パプアニューギニア、フィリピン、レソト、アンゴラ、ギニア、コンゴ、エジプト、イギリス、ナイジェリア、ニジェール、エリトリア、マリ、ハイチなど。日本はありませんでした。

本会議では特に反対する国がなく、合意に至り、採択されました。

日本がco-sponsorとして賛同した決議は、「女性、女児とHIV/エイズ」に関するものでした。最終的な文書はウェブにアップされますが、現段階ではまだアップされていません。

この本会議で、先ほどのボードが使われたのは、パレスチナの女性に関する決議のときでした。イスラエルが反対を表明、続いてアメリカが反対を表明、そこで、加盟国の表決を取ることになりました。日本は中立の立場を示しています。政治的な場面が表立って見える瞬間。結局、決議は採択されましたが、日本政府から「中立の立場をとるものの、パレスチナの女性が置かれている状況には懸念している、これからも支援を続けていく」と発言がありました。

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(投票結果)
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(アップするとこんな感じ。赤が反対、緑が賛成、黄色が中立。アメリカは反対、日本は中立を示しています。)

この後、お昼をとりながら、IPPFのメンバーとこれからのアドボカシー戦略について提案をまとめて、ヒラリー・クリントン国務長官のスピーチを聞きに行きました。

これがまた大変で!!参加する人は前もって登録して、会場でチケットをもらわないといけないのですが、登録したはずなのに、私の名前はリストに載っていませんでした。おそらく登録人数が会場の収容人数を越えていて、アメリカ政府側で勝手に調整していたのだと思います。政府関係者には招待状が言っているとのこと。NGOの参加はここでも限られたもの。

だめもとで、チケットを配る人に「登録しているのですが」というなり、私のことを見て「あなたの名前はありません。」と言う。ちゃんと確認もしないで、あり得ない!!と侮辱された気分の私は「登録しました。しかもあなたにメールを送っています。」というと、テンパっている政府はほとんど無視して、自分の知っている人の顔を捜してチケットを配布。
テンパるのも当たり前で、何百人にもチケットを配るのに、配布する人はなんと3,4人しかいない。しかも名前をリストで確認しながらなので、時間がかかる。1時間前にチケット配布が始まったものの、間に合うはずがない。長蛇の列ができて、そこに私も並んで、1時間後、やっとリストを確認してもらえ、結局名前はなかったけど、「登録した」と伝えるとチケットをもらうことができました。嫌な思いをしながらもあきらめなくってよかったーと思いました。ほとんどの人は入れなかったそうです。

やはりクリントン国務長官のスピーチはうまかったー!!原稿があるものの、まるでないかのように周りを見渡しながら話します。今回アメリカが主導でまとめた妊産婦死亡に関する決議案に関して評価することや、家族計画サービスへのアクセスを拡充することの必要性、HIV/エイズの問題に取り組むこと、妊産婦死亡が世界で深刻な問題であること、それが国の安全や安定に大きな影響を及ぼすこと、(アメリカのGlobal Health Initiative, PEPFARなどで何をしているかも説明)などを発言。また世界のほどんどの食糧は女性のよって育てられていることや、アフリカに訪問したときに女性が1日中休みなく働いているのを見た話などが出てきました。女性はこんなに働いているのに、経済では評価されない、それはformal economyがそういっているだけの話で、女性が働くのをやめたら、formal economyも立ち行かなくなる、と。水汲みや家事、食糧を育てたり、木を植えたり、色んな経済の基盤になるところを女性が支えているということを示していました。

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(会場は期待に満ち溢れていて、ヒラリーが入ってくるなり、みんな立ち上がって拍手。)

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(とにかくかっこいい・・・)

印象に残った言葉は、これからまた先に進むために、一つの声をまとめないといけない、つまりwomen’s progress is human progress, human progress is women’s progressだ、というところ。

CSWに参加して、ヒラリーのスピーチが聞けるかもしれないという期待を胸に抱えていたので、最終日に実現して、本当に良かったです。世界を動かす女性になるというのは、すごいことだなと、目の前にいる同じ一人の女性を見て感じました。同じ人間なのに、彼女の発言で世界が影響を受けるってすごいことだなぁと、ものすごい強さを感じました。

今日はこれだけで大満足な日です。

会議も無事終了し、絶対金曜日だけは遊びに行く!!と決めて、ずっといきたかったBlue Noteに。イタリアのジャズシンガーの人で、なんと、私の大好きなエンニオ・モリコーネの曲がセレクトされていました。超うれしい・・・。ご褒美だ~~~。

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明日は、姉の住むボストンに旅立ちます。
by joi-oshio | 2010-03-14 12:57 | お仕事 | Comments(2)
Commented by syu at 2010-03-17 22:03 x
長い会議お疲れ様でした~!詳細な報告で、会議の様子がよくわかりました~。私も10年前に参加したけど、この10年でどんだけ変わったのかなぁ?!と思っちゃうね。
ボストンで姪っ子さんと楽しんできてね!!
Commented by oshio at 2010-03-19 01:21 x
syuさん、

ありがとうございます。本当に世界中からNYに人が集まってきていて、なんともいえない熱気にあふれていました。10年前にご参加されているんですね!そのときと今と、何が変わっているのか、中絶の是非をめぐる議論は少なくとも、同じポイントでもめ続けている感じがしました・・・。これって何か出口があるのかなぁと思ってしまいます。

ボストンはニューヨークと違って自然が一杯で、のんびりしています。
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